津軽弁
津軽のお国言葉、津軽弁。その発音はフランス語に近く、
巷では最も理解困難な方言とも言われていますが、その裏には歴史的な背景がありました。
「方言は汚い」と思っていませんか?津軽弁の魅力や成り立ち、意味についてたっぷりご紹介します!
・帰国して気づいた、津軽弁の魅力。
・古く昔から続く言葉だった。
津軽弁は、もともと奈良時代~平安時代に京都や奈良で使われていた「大和言葉」にルーツをもちます。
その言葉が青森まで伝わるうちに変化し、津軽弁になったといわれます。
大和言葉から津軽弁への変化には「転訛」「経過省略」「経過変化」の3つがあり、
それが津軽弁を形成しています。
「転訛」について
「転訛」とは、訛りが変わることです。津軽弁の例としては、「ざ」の音が「じゃ」に変わり、
「ざっくりと」が「じゃっくらと」になります。
ほかにも、「ひ」の音が「し」に変わって「久しぶり」が「しさしぶり」になったり、
「せ」の音が「へ」に変わり「背中」が「へなが」になったりします。
「経過省略」について
「経過省略」とは、時間が経過することによって言葉の一部が省略され、言葉自体が短くなることです。
一説には、津軽は雪がとても多く、長く口を開けていると口の中に雪が積もってしまうのでそれを防ぐため言葉が短くなった、
という説もあるそうです。
具体的には「け」という言葉。実はこの言葉、意味がたくさんあるんです。「食え」「ちょうだい」「痒い」「毛」などなど。
ほかにも「め」や「ね」など、一文字では判別できない言葉が多く存在しています。
ちなみによく聞く「どさ?」「ゆさ」(「どこに行くの?」「温泉に行くんだ」)の会話。これも経過省略の典型的な例です。
「経過変化」について
「経過変化」とは、時間が経過することによって言葉の一部が変化することです。
「心地よい」という意味の「あずましい」や「かわいい」という意味の「めごい」が例として挙げられます。
特にわかりやすい「めごい」は、大和言葉だった「めんこい」が経過変化したものと言われています。
アイヌ語との関係
津軽弁のルーツは大和言葉ですが、それ以外にも距離的に近かったアイヌ語の影響も少なからず受けています。
地名で言うと「撫牛子(ないじょうし)」、また人名で言うと「五十嵐(いがらし)」が挙げられます。
これらの漢字に特に意味はなく、アイヌから伝わってきた言葉に直接漢字を当てはめたものと考えられています。
帰国して気づいた、津軽弁の魅力。
今回お話を伺ったのは、銘茶玉雲堂のオーナーであり、「お国言葉で川柳」の司会を務める渋谷伯龍さん。
渋谷さんは若い頃から旅好きで各地を放浪していたそうです。ヨーロッパなど計17か国を巡り、日本に帰国したときでした。
渋谷さんが津軽にいた時はよく使われていたはずの津軽弁が、廃れてあまり使われていないことに気づきました。
その時、津軽弁に愛着が沸いたそうです。
「津軽弁は音が温かくて品格のある言葉。大和言葉がもとになっているから、
津軽弁を話すということは歴史のある言葉を話すこと。もっと誇っていい」
と話してくれた渋谷さん。今の時代、方言は汚い、田舎くさいという偏見が多く、敬遠されがちです。
津軽だからこその言葉、もっと触れて、学んでみませんか?
今回インタビューさせていただいた渋谷伯龍さんは、NHKで「お国ことばで川柳」という番組で撰者をされています。
公式サイトはこちらです。右のバナーからも見れますので、ぜひご覧ください。